温泉の顔が見えない

2011.11.19

最近の温泉郷を構成する温泉は玉石混淆で、名湯もあれば駄湯もある。駄湯の存在にはふれずに、温泉郷を、「百名湯」などの一つとして紹介している名湯セレクション本には、二重に問題ありといわざるを得ない。まず、数合わせの問題だ。温泉郷にいくつかの温泉が含まれているとしたら、「百名湯」と銘打つ意味がない。これでは、看板に偽りありだ。そもそも一つの温泉地と温泉郷を「名湯」というカテゴリーで同列に競わせるのはフェアじゃない。

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もう一つの問題は、温泉郷単位でセレクトし始めると、選択基準自体があいまいになる点だ。例を示そう。秋田県八幡平に点在する温泉を総称した秋田八幡平温泉郷には、現在一〇か所の温泉が含まれ、すべて自然環境がよく、自家源泉掛け流しで、大沼温泉以外は一軒宿ばかり。ここなら名湯連合として温泉郷まるごと選んでも文句なしという例だ。それなのに複数の名湯セレクション本では、八幡平温泉郷としては選ばず、中の二つほどの温泉だけがピックアップされている。